品川隆幸の古今東西(30)メモの効用〜誰も教えてくれないメモの書き方〜

書いて、考える。

また、考えて、書く。

書いたことは忘れないし、書かなければすべて忘れてしまう。

そして、書いたことを何度でも読み返すことで、より記憶の中に深く定着されていく。

これは何かを考える際のごく自然な方法だと思うが、実は私自身はそのことを知らず、長らく苦しんだ。

書かずにいたことで多くを失い、チャンスを逃してきた。

そしてとても不効率な仕事をしてきたものだと思う。

それ故に物覚えも悪かった。

母親からは「お前は頭が悪いから、覚えたいことはとにかく書きなさい。」と言われてきた。

 

しかし今は、書くから行動でき、書くからチャンスを引き寄せることができるとはっきり断言できる。

まさに、私は書くことで人生が奇跡的に変化するという体験をしてきたからだ。

そんな私は、人から「メモ魔」と言われるようになった。

今日は、私の書きまくったことによる変化をお伝えしたいと思う。

子供の頃、物覚えの悪い私は母親に、「忘れないためにはメモを書いて貼っておきなさい。」と言われたものだ。

仕事で手痛い失敗を重ねた挙げ句、借金まで抱えてしまった私は、とにかく大事なことは忘れないように書くことで頭に叩き込もうと思った。

これ以上間違いを犯したくない一心だった。

 

まずはチラシの裏紙を切って手のひらサイズにし、書いたものをそこいら中に貼っていた。

しかし、せっかくメモを貼っても、物覚えが悪く頭の回転が良くない私は、すぐに忘れてしまう。

それでもなんとか覚えたことを忘れまいと、書いては壁にベタベタと貼り出していた。

おかげでなんとか、書くという習慣は身に付いた。

しかし、せっかく書いたものをどこかへやってしまい、忘れてしまう。

整理整頓ができていなかったのだ。

 

しばらくして、人からもらった大学ノートにメモを書くようになった。

これなら閉じてあるので失くすことはない。

書いて不要になった項目は斜線を引いた。

こうすることで、今進行中の情報と用済みになった情報が一目で分かるようになった。

不思議なことに、こうすることで物覚えも良くなったような気がした。

この頃から、書くと覚えられるということが体験的に分かってきた。

 

そしてあるときから、壁に貼ったメモはほとんど必要なくなった。

ノートに書いているうちに、頭のどこかに記憶できるようになり、壁に貼ったメモに頼ることが少なくなってきた。

そこで壁のメモと押しピンをしまい込んで、書くためのノートを増やすことにした。

 

ノートに書くことは主に次のような内容だった。

 

・今やるべきこと

・これからやりたいこと

・覚え書き(覚えておかなくてはいけないこと、覚えておきたいこと)

 

この頃にはA4サイズのノートを常に3冊持ち歩き、都度必要なことはここに書くようにした。

この頃からかなりの「メモ魔」となった。

 

しかし、独立して自分で仕事を切り盛りするようになると、この3冊のノートを持ち歩いて書くことが面倒になってきた。

そこでB5版のルーズリーフノートを使いだした。

ルーズリーフノートを選んだ理由は、書いたページを自由に取り外したり並べ替えたりでき、整理整頓がしやすかったからだ。

そしてこの頃から文字も丁寧に書くようになった。

丁寧に書いた方が、後で読み返すときに読みやすい。

読みやすいと頭にもすんなりと入る。

 

営業であちこち走り回る私は、仕事の内容以外にもいい話を聞いたらすぐにノートに書き留めていた。

いい話とは、ためになると思った他者のエピソードや格言などだった。

特に格言は、訪ねた会社の壁に貼ってある社是や社訓などを書くことが多かった。

また仕事では、見積もりや受注内容、納期、コスト計算など、こと細かく書いた。

ルーズリーフノートに変えたおかげで、すぐに開いて見ることができるし、整理整頓もしやすい。

書いたことが情報として活かされるようになったと思う。

 

そしてこの頃から、走り書きした情報は後から清書するようになった。

まずはメモして、後で清書する。

それを繰り返すとすごいスピードでノートの枚数が増えてくる。

そこで今度は、ノートにインデックスを貼って、項目ごとに分けることにした。

おかげで益々便利になった。

書いたことを忘れてしまっても、インデックスのおかげですぐまた情報を探し出せる。

書いては読み返し、読み返しては、わかりにくい箇所はさらに覚えやすいように書き直した。

さて、ここまでくるとルーズリーフノートも、もっと気に入ったものが欲しくなる。

しかしなかなか気に入るものが無い。

無いなら自分で作ろうと思った。

そしてせっかくオリジナルで作るのなら、お得意様にプレゼントにしてはどうかと思いついた。

早速仕入れ先やお得意様に意見を伺うと、皆さん欲しいという。

そこから、シナガワオリジナルのルーズリーフノートが出来上がった。

途中何度かもう作るのをやめようかと思ったが、今年も欲しいというお客様の声が続いていたので、26年経った今でも毎年作ってはプレゼントし、喜んでいただいている。

 

そんなルーズリーフノートは何年愛用しただろうか?

何冊も作り続けたシナガワオリジナルルーズリーフノートは、私の営業ツールとして無くてはならないものだった。

しかし、その頃から徐々に営業を若い人たちにまかせるようになり、私自身は経営に集中していった。

そして異業種交流活動にも力を入れるようになった。

仕事のやり方やポジションが変ってくると、私のノートのスタイルも変化していった。

これまでお客様の情報等を多く書いていた営業職では、B5サイズのルーズリーフノートはちょうど良い大きさだった。

しかし、もっと集約して書き、書いたものを活かすには、B5サイズでは大きすぎると感じるようになった。

結果的に、10年前からはバイブルサイズのシステム手帳を使うようになった。

ここまでたどり着いて、ようやく私のメモのスタイルは落ち着いたように思う。

現在はこのシステム手帳が20冊近くあり、そのうち10冊は私にとっての宝物となっている。

このシステム手帳には、次のようなジャンルのメモがきちんと項目ごとに整理整頓して、ファイリングしてある。

 

・講演用資料

・格言

・ニュース、時事ネタ

・日々の記録

・知識

・健康

・環境

・エネルギー

・新技術

・宗教、哲学 

 

ここにファイリングされている情報は、ほぼ3回は書き直して清書したものだ。

最初はとっさに書いた走り書きのメモ。

そしてそれを分かりやすく整理したものが2度目のメモ。

最後にさらに要点を効率よくまとめたのが3回目のメモだ。

こうして3回書き直すことによって情報は頭に入り、知識となる。

おかげで講演のネタには不自由したことはない。

こうしてまとめあげたシステム手帳を改めて振り返ると、私にとって大きな大きな宝物であると思える。

なぜなら、覚えたいと思って何度も書き直した情報が、今では自分の血や肉となり、次への行動につながった。

そして書くことによって忘れないということが、人との約束を守ることへとつながり、やがては社会的信頼へとつながっていったと思う。

 

知識や教養は、ただそれだけではまだ役不足である。

知識や教養を身につけることで、より人間的に成長し、魅力のある人へとなっていく。

そして身につけたものが生きてくるのである。

これには少々年月がかかるが、それは風雪に耐えた大木が、味わいのある佇まいを醸し出すように、人間もまたその年輪のように深みを増し、豊かになるのである。

私自身は何十年も書き続けて、ようやくその実感を持てるようになった。

ただし、そのための方法は自分で見つけるしかない。

しかし書き続けることで、道は必ず見つけることができる。

 

だから、私は若い人たちには書くということの効用をもっと知ってほしいと思う。

書くことは必ず行動へとつながり、行動するから人生はどんどん進化する。

また、書くことは己自身との作戦会議であり、羅針盤でもある。

この羅針盤を持つということは、これからの人生の大きな力となるだろう。

なぜなら、自分の向かう方向性が見えることによって、心が定まり、安定するからだ。

書いたメモは、自分の航海のための海図となる。

その海図を手に、自分自身の道をまっすぐ突き進んでほしいと思う。

 
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