品川隆幸の古今東西(29)継続は力なり

以前、東大阪商工会議所主催の26年間継続した展示会の話について書いた。

今回は、私自身のことについて触れてみたい。

 

私が起業したのは23歳の時であった。

当時営業成績が社内でトップだったのをいいことに、さっさと独立してしまえばうんと儲かると思った。

今思えば若気の至りだが、私の未熟さゆえ、独立開業はわずか一年余りで廃業へと追い込まれてしまった。

この失敗談はとても手痛いエピソードに溢れているので、また別の機会に書きたいと思う。

 

さて、自らの失敗でわずか1年で事業をたたむこととなった私は、「継続は力なり」という言葉の意味を深く噛み締めていた。

そしてこの言葉を念仏のように唱えながら、どうすれば事業を継続させ、企業として永続的にやっていけるのか、そればかりを考えていた。

そして寝る間を惜しんで働き、ようやく30歳のときに二度目の独立を果たした。

 

■どうすれば事業を継続していけるのか?

 

今こうして当時のことを思い出してみると、我ながら滑稽に思える。

なぜなら、当時の私は勤めていた会社の社長の言うことを聞かず、自分が良かれと思ったことは我を押し通した。

当然摩擦も軋轢もあった。

そんな私はサラリーマン劣等生だったので、小さい山であっても自ら山を築いてお山の大将になるしかなかったのだ。

そしてようやく果たした二度目の独立では、なんとか事業を継続させようと躍起になった。

企業として継続することができれば、取引先との間に大きな信用が出来上がる。

やがてそれが社会的な信用につながり、企業としての「力」となり、その結果は利益となって還元される。

その「力」を持っているからこそまた継続できる。

こうして「力」ある企業は連綿と続いていくのだ。

そうやって私も強く、大きくなりたいと願った。

もう二度と同じ轍を踏むものか、そう息まいていた。

 

■企業30年説

 

一説によれば、企業の寿命は30年という。

現在私の会社は創業42年となる。

しかし、この会社はまだ天寿を全うしておらず、さらに先があると感じている。

だが、30歳の頃の私は「企業30年説」を固く信じていた。

まさか自分の会社が42年も継続するとは思っていなかったので、創業から25年を過ぎた頃に、真剣に後継者への事業継承を考えていた。

そして当時の専務に2代目社長を譲り、私自身は別のことを始めた。

それは第二創業だった。

このときに立ち上げたのが、現在の(株)ロダン21だ。

 

しかし、事はそうたやすくは運ばなかった。

二代目を任せた専務が社長を辞退した。

業績悪化の責任を感じての選択だった。

そして私はまたもや社長へと逆戻りすることとなった。

そこからなんとか危機的状況を脱して、現在に至っている。

40年以上も継続することができたのは、奇跡だと思っている。

 

ちなみに、企業の生存率は創業から10年で70%だそうだ。

約3割は廃業か倒産している。

これは年平均3%ずつ減っている計算となる。

実際には日本全国の中小企業は、2009年には429万社あったが、2013年には385社まで減っている。

この計算だと20年後には約5割の企業が消えていくこととなる。

このうち、個人事業者は数のうちに入っていない。

企業が永続的に存続していくことは、それほど難しいということだ。

 

さて、ここまで私の話と企業存続の難しさを書いてきたが、それではどうすれば事業を継続させることができるのかについて、私の考えを書いてみたい。

 

■継続させるべき事業とは?

 

事業を継続させていくことを語ろうとすると、一言では片付けられない難しさがある。

なぜなら、果たしてその事業が継続させるに値するのかどうか、その判断が難しい。

ただ継続すれば良いというものではない。

逆に継続させればする程、借金等の苦難の種をたくさん残し、かえって後継者に無駄な苦労を背負わすことにもなりかねない。

また、刻々と速いスピードで変化する世の中の流れに則した事業でなければ、継続させる意味がないのかもしれない。

そういった場合は、早い目に廃業を考えた方が良い場合もある。

 

私は拙書「東大阪元気工場」で、「ダメならほかのことせんかい!」というメッセージを書いた。

これを書いた時にはちょうど平成不況と呼ばれた不景気な時期で、そんな中で古い仕事や古いやり方にしがみついていては先に進めない。

だから即実行で、とっとと他の道を探した方が良いと考えていた。

これは私自身への教訓でもあった。

 

■事業を継続させるために必要なこと 

 

では、事業を継続させるには何が大事なのか?

それは「スタート」にあると考えている。

「始めよければ全てよし」という言葉にもあるが、何を始めるかでその事業が継続すべき事業か、そうでないのか、道が分かれる。

 

事業を始める時に、どんなことを事業にするのかを吟味する必要がある。

もちろん、何を始めても自由だが、ただ時流に乗って儲かれば良いというものでもない。

3年先、5年先を見据えて考えなくてはいけない。

ならば、どう考え、何を選べば良いか?

私の経験上、こんな仕事だと思う。

 

1)絶対になくならない仕事>普遍的に人が必要とする事、物

2)人の役に立つ仕事>人に喜ばれる仕事

3)人が嫌がり、やらない仕事

4)流行に左右されない仕事

5)変化に対応可能な仕事

6)ニッチな仕事

7)目立たない仕事

8)遅れているから面白いと、逆転の発想ができる仕事

9)一見儲からない仕事

10)誰も想像できないような新しい仕事

 

相場をやる人なら知っているだろうが、「人の行く裏に道あり花の山」という言葉がある。

付和雷同では見つける事ができない道が、その人それぞれにあるのだと思う。

そしてそこに、他の人では実現できない、その人ならではの成功が必ずある。

私の場合は儲からないと言われたゴムの加工をやり始め、そして1個何銭という安い商品をコツコツと作り続けて、その中から私なりの花の道を見つける事ができた。

だからこうして40年以上も会社は続いている。

 

■心構えと習慣

 

そして、事業を継続させるにはさらに大事なことがある。

それは「心構え」と「習慣」だ。

 

1)新陳代謝ー新しい事にチャレンジし続ける。

2)一子相伝ー技術の継承

3)日々革新ー飽くなき技術の追求。

 

あの偉大な芸術家、パブロ・ピカソは次のように言っている。

「いかなる創造活動も、はじめは破壊活動だ。」

 

作っては壊し、壊しては作る。

この繰り返しの中で、常に高みを目指して模索し続ける。

この姿勢こそが、事業を継続させるために必要なことではないかと思う。

 

何を目指して起業するかという「心構え」からスタートして、自分の日々の「習慣」が変わる。

そしてその「心構え」と「習慣」が社内に浸透、共有できれば、企業は自ずと成長の道を歩み始めるものだ。

この成長のスパイラルが出来上がれば、企業として継続していける可能性が大きくなる。

 

「心が変われば行動が変わる。

 行動が変われば習慣が変わる。

 習慣が変われば人格が変わる。

 人格が変われば運命が変わる」

 

これは誰が放った名言かは知らないが、まさにこの通りだと思う。

 

皆さんはどう思うだろう?

我が社はこれを念頭に置き、経営してきた。

日々ベンチャー精神を忘れず、歩み続けてきた。

これまでも、ドルショック、オイルショック、バブル崩壊、リーマンショック等、色々あった。

そしてその都度苦しかった。

しかし、こういった不測の事態は突然起こるもので、避けようが無い。

だが社員共々変化に対応し、必至に乗り越えてきたので、今がある。

 

運が良かったとも言えるし、人に恵まれてきたとも思う。

これらの要素も継続する上では大きな要素だったと思う。

ここまで続けられたことに、大きな感謝がある。

パーツ加工から複合装置の開発まで。ハードとソフトを融合し、モノ作りを総合コーディネート。"

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