品川隆幸の古今東西(8)医原病って知ってますか?

前回の続きになるが,命を拾ってから健康と病気について色々と考えるようになった。

その中で最近特に気になっているのが医原病についてである。

私が医原病というものを特に意識するようになったのは、ある大学の教授が当社((株)シナガワ)を尋ねて来られてからだ。


ある日、A大学薬学部のB教授がモノ作り相談に当社へやってきた。

そして唐突に、「社長!医原病って知ってますか?」と尋ねられた。医原病という言葉にあまり馴染みの無い私が返答に困っていると、「いや、実はね。。。」と言いながら、おもむろに鞄から茶色や紫色のガラス瓶を取り出し、こう言った。

「実は、この瓶の中身は抗がん剤薬液です。当病院では毎日何十人ものがん患者にこの薬剤の注射を打っています。そしてその治療に当たっている看護師が医原病になるんです。」

 

医原病とは、抗がん剤をがん患者に処置する看護師自身が、体調が悪くなったり、妊娠している場合は流産したりするという。

患者にとっては治療薬であっても、それを処置する人間には病の原因となるのだという。

一体なぜだろうか?

とても不思議に思ったが、B教授のお話を聞いてその理由がわかった。

抗がん剤の薬液の瓶は蓋がゴム栓になっていて、そのゴム栓に注射器の針を差し込んで中の薬液を吸入する。

そしてゴム栓から注射針を抜くときに、薬液の飛沫が手に付着するそうだ。

この薬剤の飛沫は洗っても取れないらしい。

なぜなら、皮膚に着いたとたんに、あっという間に細胞に浸透してしまうからだそうだ。

がん細胞を抑える働きをする抗がん剤は、使い方を誤れば毒となる。

この皮膚に浸透した薬剤が、看護師のがん発症の原因となるらしい。

医療従事者が、その医療行為によってさらに患者となる。恐ろしい話だ。

これを、飛沫感染というそうだ。


そこでB教授からの依頼は、この飛沫感染を防ぐゴム栓の開発だった。


我が社は、ゴムのことなら何でもチャレンジするベンチャー企業だ。

お安い御用とばかりに、二つ返事で開発に取り組んだ。

そして、そこから様々な試行錯誤が始まった。

それと同時に、私にとっては今の社会の医療のあり方の問題を、改めて考えさせられるきっかけとなったのだ。

 


現代の医療は至れり尽くせりだ。

しかしその行き過ぎた医療行為が、果たして人を幸せにしているのかどうか疑問に感じることがある。

 


一昔前なら、年寄りは家で家族に看取られながら天寿を全うした。

枯れ葉が自然に枝から落ちるように、寿命がつきて眠るように老衰で逝くことができた。

しかし今は、多くの人が病院で死を迎えることになる。

そしてもう回復する見込みの無い者までが、体のあちこちに穴を空けられ、管をつながれ、意識も無く薬でブクブクにふくれながら、それでも息絶えることができない。

自然のままに逝く自由を奪われながら、ただただ人間を生かしておくことに巨額の医療負担を強いられている。何か空恐ろしい感じがする。

 

まずは、何かあればすぐに病院へ駆け込むということを当たり前としてきた、我々一人一人のあり方を見直す必要があるのかもしれない。

今はもう、医者も病院も薬も、安いから使うという時代ではない。

なんでも医療に頼るという姿勢の裏側に、置き去りにされてきた人間としての尊厳を、今一度取り戻す必要があるのではないだろうか。

 


医原病というものについて知れば知る程に、まずは自分で自分の健康を作る、守るという責任感が必要だと思う。

なぜなら今増えつつあるのは、医療行為が原因で生じる疾患「臨床的医原病」ではなく、「社会的医原病」、「文化的医原病」だという。

これは、本来なら医療の対象とならなかった者が、医療対象の拡大により、「患者」とされてしまったことを指す。

「社会的医原病」の一例として、自然な老化現象である老人に対して過剰に血圧降下剤等の薬剤を投与することが挙げられる。

また、「文化的医原病」とは自分の健康を医者に委ねてしまった結果、自分の健康を自分で守ろう、改善しようとする意志を失う思考停止状態のことを指す。

医師による「専門家支配」、いわゆる「お任せ医療」は、人間としてのQOL(Quality of Life)を著しく低下させる。

 


景気低迷で失業率が上がる一方である昨今、さらに高額の医療費負担という経済的重圧がのしかかる。

しかし、なんでも金で解決できた時代は終わった。

金を使う代わりに、自分の体と頭と知恵を使って生き延びていかなくてはならない。

今我々に必要なのは、生き延びるための生きた知恵だ。

 


先の薬液用ゴム栓の開発は、試行錯誤の末に開発に成功した。

これからこのゴム栓をどう市場に出し、世の中に役立てていくかが課題である。

しかしそれ以上に、これらの薬液を使用しないで済むように、一人一人が生きた知恵と感性を取り戻すことの方がもっと大切だ。

そこにもまだまだ多くの課題があるように思う。

尊厳死等もその一例だ。

尊厳死を法令化するという動きもあるようだが、死に対する選択はもっとも個人的なものである。

法で一元管理するようなものではないはずだ。

生きたいと願う人に死を促すような圧力となってはならない。


死についても、家族や近しい人たちともっと真剣に話し合うことも大切だと思う。

 

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