品川隆幸の古今東西(5)健康ってなんだろう?

Health is a dynamic state of complete physical, mental, spiritual and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity. 

 

~健康とは身体的・精神的・霊的・社会的に完全に良好な動的状態であり、たんに病気あるいは虚弱でないことではない。~

 

これは、WHO(世界保険機構)の健康の定義だ。

健康についての定義は、1998年に新しい提案がなされ、上記のように再定義された。

静的に固定した状態ではないということを示すdynamic は、健康と疾病は別個のものではなく連続したものであるという意味付けから、また、spiritualは、人間の尊厳の確保や生活の質を考えるために必要で本質的なものだという観点から、字句を付加することが提案されたのだと言われいる。

WHOの定める健康は、肉体の健康のみならず、人間として包括的な健康を唱えている。

私自身は多少メタボ気味ではあったが、社長たる者はこれぐらいの恰幅の良さがむしろ福福しくて良いと思っていた。

大きく突き出た腹は、私にとって豊かさと会社の繁栄の象徴だった。

したがって極めて健康には自信があり、また、健康のための自己管理を行っていると自負していた。

しかし3年程前、私自身の健康について改めて見直さざるを得ない事態が起こった。

 

 

それは2009年3月6日、底冷えのする寒い日であった。

いつものように昼食を取り、午後から役員会議に出席した。

ここまでは、まったくいつもと変わりのない日常だった。

しかし、会議が始まった途端、全身が徐々に痒くなり、しまいには頭の天辺から足の先まで真っ赤に腫れ上がり、一目見てひどい蕁麻疹がだと分かった。

 

なんとか2時間の会議の間はその痒さに耐えつつやり過ごしたが、あまりの痒さのために辛抱たまらず、会議終了と同時にトイレに駆け込んだ。

そして、トイレに入ったところまでは記憶しているが、その後気がつけば私は冷たい廊下に横たわっていた。

どこでどうなったのかは分からないが、どうもトイレから出て会議室に戻る途中に意識を失い倒れてしまったようだ。

 

体が思うように動かず意識も朦朧とする中、誰かが「動かすな!安静にしていた方がいい!」と叫んでいる。

会議に出席していた仲間が皆,慌てて見にきたようだ。

まったく冗談じゃない。

この冷たい廊下の上にいつまでも寝ていろというのか!

私は出ない声を振り絞りながら、「寒いから部屋まで運んでくれ!」と、周囲の人間に言った。

 

その後記憶はまた途切れ、気がつくと救急車の中だった。

 

どうやら私は、近くの総合病院へ運ばれたようだった。

救急車には、当時ロダンの代表幹事を務めていた谷口社長が付き添ってくれていた。

処置室へ運ばれた私はすぐ検査を受けることになった。

遠くの方で、「血圧50。脈拍も遅い。このままではいかん。空き部屋はあるか?」と、担当医らしき人の声が聞こえている。

しかしその間私はずっと意識が朦朧としたままで、夢うつつの中で医師と看護師のやりとりを聞いていた。

 

意識がはっきりしない私に医師が、

何を食べたか?

いつから症状が始まったか?

今、どんな状態か?

と何度も尋ねている。

しかし、医師の声は聞こえるが私の口からは言葉が出てこない。

返答しようにも、声もでなければ体も動かない。

ただ、周囲の声だけがぼんやりと聞こえている状態だった。

その時の、この世とあの世の境目をふわふわと漂っているような不思議な感覚は、今もはっきり覚えている。

白い霧の中をさまよいながら飛んでいるような感じだ。

このとき、「なんだ、人間なんて簡単に死ぬんだ。」と思った。

随分と楽に死ねるもんだ。

痛くも無いし、辛くも無い。

むしろとても気持ちがいい…。

 

それからどれぐらい時間が経ったのかは分からないが、向こうの方から谷口社長のだみ声が聞こえてくる。

 

「品川さん!大丈夫か?大丈夫か?」

 

ようやく意識が戻ってきてうっすら目を開けると、谷口社長の心配そうに覗き込んでいる顔が見えた。

「大丈夫だ。」という意思表示のために頷くのが精一杯だった。

 

その後私の意識の回復を待って、問診が始まった。

この時の私の状態は、蕁麻疹の一種である血管浮腫によるショック症状。

原因は、食べたものによるアレルギー反応。

そのとき私の血圧は50まで一気に降下し、突然の低血圧状態で意識を失ったらしい。

下手をすると気道内にも浮腫を生じることがあり、この場合呼吸困難を併発し、死ぬこともある。

そのため、最低24時間は監視が必要で入院する必要があると告げられた。

 

問診後ステロイドの点滴を打ってもらい、かゆみは治まり、意識もはっきりして随分楽になった。

生き返った!と思った。

しかし医師は入院しろと言う。

だが、私は入院なんてまっぴら御免だ。

このまま病院に入院なんかしたら、本当に病人になって死んでしまうかもしれないと思った。

結局、一悶着あったが私が頑に入院を拒んだので、家に帰ってもいいということになった。

 

翌日、好物のコーヒーを飲んでいてまた、蕁麻疹が出てきた。

その後食事を取ったら、今度は全身に蕁麻疹だ。

この時は会社の近くの病院へ駆け込み、またステロイドを点滴する羽目となった。

 

これまでの私は、自ら「鉄人」と豪語する程、身体には自信があった。

相当無茶もしてきたが、大病を患う事も無かった。

薬と言えば食い過ぎたときに胃薬を飲むぐらいで、普段は風邪薬すら飲んだ事も無い。

毎年の健康診断では異常なし。

ただ、若干メタボではあるのでもう少し体重を落とすようにと、医師には言われていた。

しかしこの度の顛末で、私の健康への自信は、過信であったと思った。

今までしでかしてきた無理や無茶が体に蓄積し、毒やら煤やら悪いものが溜まりにたまって限界まできていたのだろう。

そんな私の身体の声に耳を傾ける事も無く酷使してきた結果、とうとう身体が悲鳴を上げたようだ。

 

私の身体が悲鳴を上げる程になったのは、食べ過ぎ、偏食、喫煙、ストレス、睡眠不足、運動不足等、生活習慣がその原因である事は明白である。

つまりは、医者の薬によって治るようなものではなく、生活そのものを改める必要がある。

しかし、その生活習慣の何をどのように変えればまた健康な体に戻れるのかが分からなかった。

今の私はコーヒーを飲んでも蕁麻疹が出るほど、弱り切っている。

完全に身体への自信を失った。

どうすれば良いのかと、途方に暮れた。

 

そんなとき、ロダン事務局スタッフの横田に断食を勧められた。

これまでの食い意地の張っていた私なら、「断食なんかしたって意味があるか!」と一笑していただろう。

というより、空腹に耐えられる自信が無かった。

しかし、この時は藁にもすがるような思いで試してみようと思った。

 

これまで医者からメタボだと言われながらも、体重を気にしてダイエット等したことは無かった。

ましてや断食なんてまったく念頭になかった。

しかし崖っぷちまで追い込まれた思いの私は、断食のやり方を横田から詳しく教えてもらい、早速半日断食にチャレンジした。

その後しばらく日をおいて、今度は三日間断食した。

 

断食を行うには新月か満月の時が良いそうだ。

満月の時は食べた物が身体に蓄積しやすい時期らしく、この時に断食するとその後のサイクルは身体に余分な物を蓄積しにくくなるらしい。

また、新月のときには身体からの浄化作用が高まるため、デトックス効果が上がるそうだ。

本当かどうかが分からないが、とにかく素直に従ってみた。

 

三日間の断食をやり抜いた後の身体は、その効果がはっきりと現れてきた。

今までの私は睡眠時間は4~5時間しかとらず、それでも平気だった。

しかし断食後はやたらと眠い。

この頃から平均7~8時間寝るようになった。

身体が軽くなって、しかもよく寝るようになったおかげか、徐々に体調が良くなり、食事もより美味しく感じられるようになった。

もちろん、食べる内容は肉中心から野菜を中心にし、分量も食べ過ぎないように心がけた。

そして気がつけば、10キロの減量に成功した。

そしてそれ以降、蕁麻疹は出なくなった。

いつも頭痛に悩まされていたが、それも無くなった。

タバコも苦労する事も無く、自然にやめる事ができた。

 

今では毎日体脂肪計で体重と体脂肪を計り、記録している。

このおかげで身体の変化に気づくようになり、結果的に食べ過ぎを防ぐ事ができている。

そして毎朝、チベット体操というヨガのような体操も始めた。

今私の身体は、倒れる前よりもずっと若返って元気になったと感じている。

 

人間というのは横着なもので、病気として現れなければ大丈夫だと過信し、そして欲望を優先させてしまう。

本当は、身体は日々メッセージを出しているにもかかわらず、その声は聞こえない。

結果、ぶっ倒れて後の祭りとなる。

後悔先に立たずとはこのことか。

 

今まで、病に倒れた同胞を見てきて、そんなことは十分分かっていたはずだ。

しかし、それでも食べたい、飲みたい、遊びたいと、欲望を優先してしまう。

人間の欲にはキリがないが、因果応報、その結果はすべて自分に返ってくる。

生活習慣病は他人が作るものではなく、そんな自分が作り出した結果である。

 

元来横着に出来ている人間は、痛い目に遭って初めて気づく。

私自身もそうだった。

しかし、その後の意識の持ち方如何によって、寿命は決まるような気がする。

私の場合、あの倒れた日に一度死んだと思っている。

そして幸い命を拾い、再度生まれ変わったように感じている。

 

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