品川隆幸の古今東西(37)~ロダン21の20年を振り返って~

 メンバーのうちの、何人かの人たちが先立たれた。冥福を祈るとともに、ロダン21の軌跡を報告したいと思う。

 

 ロダン21は、東大阪市が平成9年11月に公募したグループの一つだった。バブル景気がはじけて5年にもなり、不況の真っ只中。

この時、異業種集団として結成された。

この集団は、同業種では到達できない発想を持ち寄って製品開発を行い、事業化することを目的とした。

そしてさらにその事業を継続させ、産業へと発展させて欲しいというのが、東大阪市の狙いだった。

 

 ロダン21の立ち上げは、21社の中小企業から始まった。

その21社で21世紀を考える会として結成された。

さらに集まった企業の中からモノづくりグループを形成した。

これがロダン21の土台となった。

 

中小企業の、商品開発の難しさ

 

 最初の1年間は、メンバー企業の工場見学をして回った。

そしてある結論に達した。

それは、中小企業の自社開発の商品は、自己満足で終わっているケースが多く、売れる商品となるにはあまりにも詰めが甘い。

その詰めの甘さは中小企業たる所以かもしれない。

そして、それらの自己満足製品をいくら倉庫に詰め込んだままにしておいても、それらは不良在庫でしかない。

我々はそんな在庫を皮肉を込めて「罪子」と呼んだ。このままでは製品開発は夢のままである。

モノづくり、何でも引き受けまっせ!

 

 そこで、自社開発を諦めてよそ様の依頼を受け、物を作らせてもらおうということを思いついた。

「モノづくりなんでも引き受けまっせ!」

「売れるもん作らんかい!」

を謳い文句に、マスコミの力を使って宣伝した。

東大阪市の中小企業の集まりが、何でも引き受けて作るというフレーズは、たちまち注目を集め、新聞や雑誌、テレビに取り上げられることとなった。

その結果、全国からモノづくり相談が殺到した。

ピーク時には年間1000件を越す相談が持ちかけられた。

 

失敗の先の感謝の言葉

 

 当時のロダン21の事務局には数名のスタッフが常勤していたが、彼らは寝袋を持ち込んで、徹夜でそれらの相談に対応した。

そして1000件のうち300件は見積を返し、さらにそのうちの100案件は仕事として作らせてもらった。

 

 しかし、モノづくりの受注を受け始めた当初は失敗品も多く、代金を払ってもらえないことや、お叱りをうけることが多々あった。

そしてそれらの対応に追われたものだった。

その反面、上手くいったときには依頼者から感謝の言葉を頂くこともあり、大変充実感のある仕事だった。

お客様から感謝の言葉と共に代金が振り込まれてきたときは、スタッフ一同皆で大喜びしたものだった。

 

天狗になった鼻は、必ずへし折られる

 

 そんなモノづくり相談の受注が順調に流れ始めた頃、資金繰りに困るようになった。

なぜなら、商品の開発というのは、初期のコストに大金が必要となる。

しかし、我々も依頼者も、その資金を持ち合わせていないケースが多かった。

そんな折、国から声がかかり、銀行を紹介され、融資の受け方を教えていただいた。

そして銀行5行から融資を受け、総額1億円の融資を受けることができた。

 

 しかし、融資はあくまでも借金。

いずれは返さなくてはいけないお金だ。

ところがそんな大金に慣れていない我々は、まるで、1億円をもらったような錯覚に囚われ、有頂天になってしまったのだ。

「これでいくらでも開発に着手できる!」と喜んだのも束の間だった。

 

 その当時モノづくりの相談件数は多く、それらを捌くのは忙しかったが利益は少なく、また、失敗するリスクも高かった。

気がつくと失敗が重なり、あっというまに損失は膨れ上がった。

そして瞬く間に資金ショートしてしまった。

ロダン21立ち上げからわずか5年目のことだった。

天狗になった鼻っ柱をポキンと折られてしまったのだ。

 

低空飛行の10年間

 

 それから、散々な痛い目に遭いながら、徐々に慎重に目利きするようになり、10年を迎える頃には幾分無茶をしなくなっていた。

その頃からようやく、安定した経営を目指すようになってきた。

そして立ち上げ当初にロダン21に参加していたスタッフもいつしか卒業し、巣立っていった。

今では皆立派に成長してくれたと確信している。

それと同時に私にとって、ロダン21としての一時代が過ぎたように感じたのはこの頃だった。

 

おごれるものは久しからず

 

 それからさらに10年が過ぎようとしている。

その間、たくさんのモノづくり相談があり、様々なものを作らせていただいた。

ただの思いつきだけの相談、特許を取ったので買い取ってくれという相談、試作を作ったから商品化して売ってくれという相談。

こういった誰も相手にしてくれない相談にも耳を傾けた。

しかし、そういう類の相談案件は、決して世にでることはない。

ロダン21の最初の10年は、まるでお祭り騒ぎのような勢いだったが、後半の10年は、低空飛行を続けながら知恵を少しづつ蓄える10年だったように思う。

今ではモノづくりのみならず、東大阪市地域の活性、中小企業の活性のために、モノづくり以外の事業にも取り組んでいる。

 

お祭り騒ぎのその後に

 

 時の経つのは早いもので、もうあれから20年も経ってしまった。

まだまだやりたい事、やり残した事がたくさんあるので、もうひと頑張りしたいと思う。

しかし次世代の若い人たちが育ってきている。

そろそろバトンを渡すときであると考えている。

それは、私にとってはとても大きな楽しみである。

お祭り騒ぎのように始まったロダン21を、これからの若い人たちがどのように操縦していくだろうか。

足跡をしっかり残し、継続していってほしいと願う。

 

継続は力なり、さらなる継続は宝なりだ。

 

 

パーツ加工から複合装置の開発まで。ハードとソフトを融合し、モノ作りを総合コーディネート。"

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